「運転に不安はあるけど、どこで練習すればいいかわからない」——その悩み、実はすごく多いんです

公開日時:2026-07-02
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更新日時:1970-01-01
佐々木 健
佐々木 健
ひとこと: 自動車教習所で38年。教えた生徒は、18歳から92歳まで。
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「最近、運転にちょっと不安が出てきたな…」

「家族から『運転危なくない?』って言われるようになった…」

「認知機能検査、このまま受けて大丈夫かな…」

そう感じ始めたとき、多くの高齢ドライバーがぶつかるのが 「じゃあ、どこで練習すればいいの?」 という壁です。

教習所? 警察? 家族? それとも自分で勝手に路上で練習していいの?

実はこの「練習したいけど場所がわからない」という悩みは、全国各地の高齢ドライバーに共通する大きな課題なんです。

そもそも「高齢者講習」だけじゃ足りないの?

運転免許の更新時には、75歳以上の方は「高齢者講習」を受けることが義務づけられています。この講習自体は、実車を使った運転操作の確認や認知機能検査などが含まれていて、一定の効果はあります。

でも、あの講習って「年に一度、決められた時間だけ」なんですよね。

実際のところ、高齢者講習で行われる実車確認は、短時間で決められた項目をチェックするもの。受ける側としては「自分のクセをじっくり見てもらって、ちゃんと直したい」というレベルまでは求められないのが現実です。

しかも、高齢者講習の予約が取れないという問題も全国各地で起きています。予約が取れればいい方で、「練習したい」というレベルまで考える余裕はない——そんな人も多いのではないでしょうか。

もっと根本的に言えば、講習で「合格したから」と「安全に運転できる」は別問題なんです。検査はあくまで「一定の基準を満たしているか」を見るもので、運転技術そのものをじっくり磨く場ではない。だからこそ、「講習とは別に、自分のペースで練習する場所」 がもっとあってもいいはずなんです。

 

なぜ高齢者は「練習したい」と思ってもできないのか

理由①:一般の教習所は「若い人が行くところ」というイメージが強い

多くの高齢者が「教習所は若い人が免許を取るために行くところ」というイメージを持っています。実際に、一般の教習所に「高齢者ですが実車講習はありますか」と問い合わせてみると、対応してもらえる場合もあります。ただ、敷居の高さを感じて、そもそも問い合わせすらしないという人がほとんどなんです。

 

理由②:「ペーパードライバー講習」は自分とは関係ないと思ってしまう

ペーパードライバー講習(運転に不安のある人向けの講習)自体は全国各地にあります。でも、これって「免許は持ってるけど全然運転してない人」向けのイメージが強い。高齢ドライバーは「毎日乗っている」人がほとんどなので、「自分はペーパードライバーじゃないし」とスルーしてしまいがちです。

でも実際には、毎日乗っているからこそ、悪いクセが身についていることもあるんですよね。ペーパードライバー講習の対象は「長く運転していなかった人」だけではありません。最近は、「安全運転を確認したい高齢者」向けのプログラムを用意している教習所も増えてきています。

 

理由③:家族に「練習に付き合ってほしい」と言い出せない

運転に不安を感じていても、「ちょっと練習に付き合ってくれない?」と家族に頼むのは、意外とハードルが高いものです。

なぜかというと——高齢ドライバーの多くが、これまで家族の移動手段を担ってきたからです。「送っていくよ」「迎えに行くよ」が当たり前だった立場の人が、今さら「実は運転が怖いんだけど、一緒に練習してほしい」とは言いにくい。これは、特に男性高齢者に多い傾向だと言われています。

また、「もう年だからそろそろ運転をやめたら?」と家族から言われた経験がある人ならなおさらです。「やめろ」と言われているのに「練習したい」とは、なかなか言い出せませんよね。

加えて、高齢者とその家族の間では、「運転の話をすると気まずくなる」 という雰囲気が生まれやすいのも事実です。本人は「まだ大丈夫」と思っていても、家族は「そろそろ危ないのでは」と心配している——その温度差が、お互いに言い出しにくくさせています。

だからこそ、家族ではない第三者——教習所の指導員や警察官、JAFのインストラクターなど——に客観的に見てもらう機会が、高齢ドライバーにとっては気軽で、かつ効果的な選択肢になるんです。

「家族には言いにくいけど、プロに一度見てもらおうかな」——そのくらいの気持ちで十分です。

 

理由④:そもそも「どこで何を練習すればいいか」がわからない

道路で自由に練習するわけにはいきません。道路交通法上、路上で練習するには一定のルールがあって、教習所以外の場所で練習する場合でも、「誰が指導するのか」「どんな場所で練習するのか」など、クリアすべきハードルが結構あります。

「駐車場で練習しよう」と思っても、私有地なら持ち主の許可が必要だし、公共の駐車場なら他の車の迷惑になるかもしれない。かといって、いきなり一般道で練習するのは危ないし——結局、どこでどう始めればいいのか、情報がなさすぎるのが現実です。

 

「練習したい」その気持ち、すごく大事です

ここで一つ、はっきりさせておきたいことがあります。

「自分の運転に不安を感じる」ということは、決して悪いことではありません。

むしろ逆です。自分の衰えを自覚できているということは、安全運転の第一歩です。何も感じずに事故を起こすより、ずっと良いことです。

問題は、その「不安」をどう解消するか。放っておくと不安だけが募って、運転そのものがストレスになります。でも、適切な場所で練習して自信を取り戻せれば、また安全に運転を続けられるかもしれない。

そういう意味で、「練習したい」という気持ちはすごく健全で、むしろ積極的に応援すべきものなんです。

 

じゃあ、具体的にどこで練習できるの?

ここからが本題です。「運転に不安を感じている高齢者が、実際に練習できる場所」には、いくつかの選択肢があります。

選択肢①:一般の自動車教習所が実施する「高齢者向け運転講習」

実は全国の教習所の一部では、高齢者専用の運転講習を実施しているところがあります。ペーパードライバー講習の枠組みで、高齢ドライバーを積極的に受け入れている教習所も増えています。

内容は教習所によってさまざまですが、例えば:

  • 教習所内のコースを使って実際に車を運転し、安全な操作を確認
  • ペダルの踏み間違い防止のアドバイス
  • 夜間や悪天候を想定したシミュレーション運転

探し方のコツ:お住まいの地域の教習所に電話して「高齢者向けの実車講習はありますか?」と聞いてみるのが一番早いです。「ペーパードライバー講習」と銘打っていても、高齢者の受け入れ実績がある場合が多いので、まずは一度聞いてみることをおすすめします。

 

選択肢②:各地の警察署や自治体が主催する「運転講習会」

実は、警察署が主催する高齢者向けの運転講習会が全国各地で開催されています。あまり知られていませんが、結構定期的に行われています。

2026年6月には福岡市で東警察署とJAFが合同で講習会を開き、65歳から83歳までのドライバー16名が参加しました。こうした講習会では:

  • サポートカーの自動ブレーキを実際に体験
  • 多段階停止などの運転技能チェック
  • 安全運転に関するアドバイス

が行われます。自治体によっては、無料または低額で参加できるケースもあります。

探し方のコツ:お住まいの地域の警察署のホームページをチェックするか、高齢ドライバー相談ダイヤル「#8080」 に電話して「近くで高齢者向けの運転講習会はありますか?」と聞いてみましょう。案内してもらえる場合が多いです。

 

選択肢③:JAF(日本自動車連盟)の「安全運転講習」

JAFも全国で高齢者向けの安全運転講習を実施しています。会員でなくても参加できる場合が多いので、一度チェックしてみる価値はあります。

JAFの講習の特徴はプロのインストラクターによる客観的な運転評価が受けられること。自分では「大丈夫」と思っていても、第三者の目から見た評価はかなり参考になります。

 

選択肢④:家族や知人と一緒に「安全な場所」で練習

「教習所はちょっと敷居が高い」という場合は、家族や知人に同乗してもらって練習するという方法もあります。

ただし注意点がいくつか:

  • 路上練習は運転免許を持っている人が同乗すれば違法ではありませんが、できれば駐車場など人や車の少ない場所で練習するのが安全です
  • ショッピングモールの空いている駐車場などは練習場所として使われることがありますが、管理者の許可を得るのが望ましいです
  • 絶対に交通量の多い道路では練習しないでください

ただ、先ほども触れたように、家族に「練習に付き合って」と言い出しにくいという問題もあります。その場合は、選択肢①〜③の「プロに頼める場所」を優先して検討するのが現実的かもしれません。

 

選択肢⑤:全国から人が集まる「高齢者専門教習所」という選択肢

ここまで読んで「でも、近くにそういう場所がないんだけど…」と思った方もいるかもしれません。

そういう人のために、全国でも珍しい高齢者専門の教習所を一つ紹介しておきます。

兵庫県高砂市にある 「はりま高齢者講習専門校」 です。

ここは高齢ドライバーだけを対象にした全国でも珍しい専門教習所で、2020年に開校しました。「高齢者講習の予約が取れない」という声を受けて生まれた施設です。

なぜ遠くから人が来るのかというと——高齢者に特化した細かい指導があるからです。

  • 教習車は軽自動車(高齢者が実際に乗っている車と同じタイプで練習できる)
  • 指導員は高齢者の運転のクセを熟知している
  • 認知機能検査も併設で受けられる
  • 過去には100歳の方や、青森から来た人もいる

ただし、これはあくまで選択肢の一つ。全国のどこにいても通えるわけではありません。でも、この教習所が存在するということは、「高齢者のための練習場所」のニーズが確実にある証拠です。そして、今後こうした施設が全国に広がっていく可能性も十分にあります。

お住まいの地域に近い選択肢がないか、まずは#8080に相談してみるのがおすすめです。

 

まずは一歩を踏み出してみましょう

「運転に不安がある」という気持ちを、「じゃあ練習しよう」という行動に変えること。それが、安全運転を続けるための一番の近道です。

最初の一歩は、情報収集からで大丈夫です。

① お住まいの地域の教習所に電話して「高齢者向けの実車講習はありますか?」と聞いてみる

#8080(高齢ドライバー相談ダイヤル)に電話して、近くの講習会情報を聞いてみる

JAFの安全運転講習をチェックしてみる

④ お住まいの地域の警察署のホームページで講習会の有無を確認する

どれも「ちょっと聞いてみるだけ」で大丈夫です。実際に予約するかどうかは、情報を得てから決めればいい。

大切なのは 「自分は何もしなくても大丈夫」と思い込まないことです。

 

まとめ

「運転に不安を感じ始めた高齢者が、どこで練習すればいいかわからない」 ——これは本当に多くの人が直面する課題です。

でも、実は選択肢はあります。

  • 一般の教習所が実施する高齢者向け講習
  • 警察署や自治体が主催する講習会
  • JAFの安全運転講習
  • 家族や知人との練習
  • そして、全国から人が集まる専門教習所

一番大切なのは 「不安を感じたら、行動する」 こと。

完璧な運転を目指す必要はありません。「今より少しでも安全に運転できるようになる」 という気持ちで十分です。

あなたの「ちょっと練習したい」という気持ちを、ぜひ最初の一歩につなげてください。

関連リンク:

  • 高齢ドライバー相談ダイヤル #8080(全国どこからでも相談可能)
  • JAF安全運転講習(全国開催)
  • お住まいの地域の警察署(講習会情報を問い合わせ可能)
  • はりま高齢者講習専門校(兵庫県高砂市/全国から受け入れあり)
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